FreeCADは、3Dのパラメトリックモデリングアプリケーションです。もともとは機械設計のために作られましたが、モデリングの履歴をコントロールながら精密な3Dオブジェクトを作成したい多くのユーザーの役にも立ちます。
FreeCADの開発は2002年から続けられており、多くの機能を提供しています。まだ欠けている機能もありますが、趣味や小規模な工務店での使用には十分な機能を持っています。熱心なユーザーからなる急速に成長しつつあるコミュニティがあり、FreeCADフォーラムで積極的に参加できます。また、FreeCADで開発された高品質なプロジェクトの多くの例があります。
多くのフリー・ソフトウェアと同じく、FreeCADの成長、機能追加、バグ修正にはコミュニティーの支援が不可欠です。もしFreeCADを気に入ったのならば、寄付やドキュメンテーション作成、翻訳などを通じてFreeCADに貢献してください。
参考
まず最初にFreeCADをダウンロードしインストールします。最新版の情報と更新情報についてはダウンロードページを参照してください。インストールについては各オペレーティングシステムのインストール方法(Windows、Linux、macOS)を参照してください。多くのLinuxディストリビューションではFreeCADが標準でインストール可能です。FreeCADはオープンソースなので、ソースコードを取得し自分でコンパイルすることも可能です。
FreeCADの標準インタフェース
詳細な説明がユーザー・インタフェースにあります。
FreeCADのインターフェイスの基本的な概念は、複数のワークベンチに分かれていることです。ワークベンチとは、特定の作業に適したツール集です。例えばメッシュを扱うもの、2Dオブジェクトを描くもの、拘束されたスケッチを作成したりするためのもの等です。ワークベンチ選択メニューで、利用しているワークベンチを切り替えることができます。また、インターフェースのカスタマイズで、各ワークベンチに含まれるツールを変更したり、他のワークベンチのツールや自分で作成したツール(マクロと呼びます)を追加したりすることもできます。作業の最初によく使われるワークベンチはPartDesignワークベンチやパートワークベンチです。
FreeCADを起動すると、スタートページが表示されます。以下は第0.19版のスタートページの例です。
スタートページからは、よく使うワークベンチに素早くアクセスしたり、最近使ったファイルを開いたり、FreeCADの最新の情報を確認したりできます。設定でデフォルトのワークベンチを変更できます。
FreeCADには、複数のナビゲーションモードがあり、3Dビューやその中のオブジェクトをどのようにマウスで操作するのかを変更することができます。ナビゲーションモードの1つは、中央ボタンが使えないタッチパッドのためのものです。デフォルトのナビゲーションモードはCADナビゲーションです。ナビゲーションモードは、ステータスバーのボタンを押すか、3Dビューの空白部分で右クリックをすることで簡単に変更できます。
また、ビューメニュー、ビューツールバー、あるいは数字キーのショートカット(1、2、等々)から、(上面図や前面図などの)プリセットのビューを切り替えることができます。3Dビュー内のオブジェクト上や空白部分で右クリックすることで、特定のビューの設定や、ツリービュー内でのオブジェクトの検索などのよく使う操作に素早くアクセスできます。
FreeCADは高精度な3Dモデルを作成し、モデルの履歴をさかのぼってパラメターを変更できるようにすることで、モデルを細かく管理できるように設計されています。最終的には、3D印刷、CNC加工、建築工事などに活用できることを想定しています。そのため、アニメーション制作やゲーム開発などのための3Dアプリケーションとは大きく異なっています。特に3Dモデリングが初めての人には学習のハードルが高く感じられるかもしれません。どこかでつまずいたとしても、FreeCADフォーラムの親切なコミュニティーに相談すればすぐに解決策が見つかるかもしれません。
あなたの作業内容に応じて、FreeCADのどのワークベンチから作業を始めればいいのかは変わります。 もし機械的なモデルや、一般的に小さなオブジェクトを作成するのであれば、おそらくPartDesignワークベンチを試してみるのがいいでしょう。もし2D図面を作成したいのであれば、基本設計ワークベンチです。もし拘束を使って2Dのデーターを作成したいならスケッチ・ワークベンチです。BIMを行いたい場合は、BIMワークベンチを起動してください。もしOpenSCADを使っていたのならば、OpenSCADワークベンチを試してみてください。さらに、コミュニティーで開発されたたくさんの外部ワークベンチもあります。
ワークベンチはいつでも切り替えることができます。また、インタフェースのカスタマイズで、他のワークベンチからツールを追加することもできます。
パートデザイン(PartDesign、部品設計)ワークベンチは、簡単な形状から複雑なオブジェクトを作成するためのワークベンチです。部品(「フィーチャー」または「特徴」と呼びます)を追加したり削除したりして、最終的なオブジェクトを作り上げます。モデリングの過程で適用したすべての特徴は、ドキュメント内の他のオブジェクトと共にツリービューに保存されます。パートデザイン・オブジェクトは、前の操作の結果に次々に操作を適用していく一連の処理の集まりと考えることができます。ツリービューでは最終的なオブジェクトを確認でき、展開してすべての前の状態を確認できます。前の状態のパラメーターを変更すると、その変更が最終オブジェクトに自動的に反映されます。
パートデザインワークベンチは、別のスケッチャー(Sketcher)ワークベンチを多用します。スケッチャーワークベンチは、2D形状に拘束条件を適用する方法で、2Dの形状を描画するためのツールです。たとえば長方形を描き、辺の1つに長さ拘束を適用してそのサイズを設定することができます。その辺は(拘束条件を変更しない限り)長さを変更できなくなります。
スケッチャーワークベンチで作成した2D形状は、パートデザインワークベンチで多用します。例えば、2D形状から3Dボリュームを作成したり、オブジェクトの面に2D形状を描いて、その部分をオブジェクトからくり抜くといった操作です。以下はパートデザインにおける典型的な操作の一例です。
以上の結果として下記のようなオブジェクトができます。
いつでも、元のスケッチを選択し変更したり、押し出しの長さやポケットの長さを変更したりできあす。これらの変更は最終的な形状に反映されます。
ドラフト(Draft、草稿・基本設計)ワークベンチとBIMワークベンチは、他のワークベンチとは少し動作が異なりますが、FreeCAD全体に共通するルールには従っています。簡単に言えば、スケッチャーとパートデザインが主に単一の部品を設計するためのものであるのに対して、ドラフトとBIMは複数の単純なオブジェクトの扱いを簡単にするためのものです。
ドラフトワークベンチは、AutoCADのような伝統的な2D CAアプリケーションと似た2D製図の機能を提供しています。しかし、2D製図はFreeCADの主な用途の対象外であるため、2D製図専用のアプリケーションに見られるような豊富な機能があるとは期待しないでください。ドラフトワークベンチのほとんどのツールは、作業平面やオブジェクトのスナップといった補助システムを利用することで、xy平面上のオブジェクトだけでなく、3D空間上の任意の平面上のオブジェクトにも対応します。
BIMワークベンチによって、FreeCADでBIMの機能が使えるようになります。これによって、パラメトリックなオブジェクトからなる建築のモデリングが可能になります。BIMワークベンチでは、ドラフトやスケッチャーワークベンチといった他のモジュールの機能を多用します。ドラフトワークベンチの全てのツールはBIMワークベンチから利用可能です。また、BIMワークベンチのほとんどのツールはドラフトワークベンチの補助システムを利用しています。
BIMおよびドラフトワークベンチでの典型的な作業フローは下記のようなものです。
以上の結果として下記ができます。
詳細はチュートリアルを参照してください。
誰でもFreeCADの新しい機能を開発し、アドオンとしてFreeCADコミュニティーに共有できます。
アドオンには3種類あります。
.FCMacro
という拡張子をもつ単一のファイルに含まれています。
最後は、FreeCADの最も強力な機能の一つであるスクリプト環境です。統合されたPythonコンソールから(あるいは外部のPythonスクリプトから)、FreeCADのほとんど全ての機能をアクセスできます。ジオメトリの作成や修正、3Dシーンでのオブジェクトの表示方法の変更、FreeCADインターフェースへのアクセスや変更が可能です。Pythonスクリプトはまたマクロとしても使用でき、カスタムコマンドを簡単に作成することができます。